以前こんな記事を書きました。「呪術廻戦の映画のIMAX上映があるなら、キングスマンのIMAX上映は危ういかも?」と。実際にその予感は良くも悪くも的中してしまい、それどころかそれ以上の問題の話に発展していました。
そもそも世界的にキングスマンのIMAX上映が取りやめに。
引用:キングスマン ファースト・エージェント : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
結構Twitterとかでも日本国内でキングスマンと同日公開となる作品「劇場版 呪術廻戦0」がIMAX上映決定となったせいで、日本国内でのキングスマンのIMAX上映がなくなったと思っている人が多いようです。ただ実はこれ間違い。
IMAX公式サイトを見ても「キングスマン」の姿はない。
IMAXの公式サイトには世界的に公開される作品(所謂ハリウッド大作)におけるIMAX上映作品がズラッと並んでいます。ところが現在このサイトを見ても『キングスマン:ファースト・エージェント』の姿はない。というのも
ディズニー本家がIMAX上映を世界的に取りやめたため
です。もはや日本法人のWDJ(ウォルトディズニージャパン)やマトリックス、呪術廻戦だけの問題ではないんですよ。
そもそも本家ディズニーはなぜIMAX上映を取りやめたのか?
- 12/17:スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(日本1/7公開)【SPE】
- 12/22:マトリックス レザレクションズ(日本12/17公開)【WB】
- 12/22:キングスマン:ファースト・エージェント(日本12/24公開)【WD(旧FOX)】
一番最初の日にちは「アメリカ国内での公開日」です。
見てもらって分かる通り、ハリウッド大作がただでさえ犇いているうえにワーナー・ブラザース制作のマトリックスと公開日が被っています。
そしてディズニーは自社の配信コンテンツ『ディズニープラス(Disney+)』への移行も着々と進めています。ホームシアターの環境さえ整っていればこのディズニープラスでIMAXやドルビーシネマに対応したフォーマットで鑑賞できるものも登場してきているようです。
どうせ他の大作とかぶるぐらいならわざわざIMAXなども押さえなくていいかという事情もあったのではないかと思います。
そして一足先に公開している「スパイダーマン」に至ってはコロナ禍以降としては異例の初動2億5000万ドルを米国で叩き出しています。コロナ禍以前含めても「アベンジャーズ:エンドゲーム」「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」に次いで歴代3位だそうで。
【全米映画ランキング】「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」が特大のヒットで首位デビュー : 映画ニュース - 映画.com (eiga.com)
日本国内では年末の激戦を避けるためか年明けの公開ということでファンがキレている印象ですが、呪術廻戦のロケットスタートなど興行的なことを考えれば賢明なような気はします。
まあトムホ版スパイダーマンは全く観てないから言えるんだよwと言われればそれまでなんですけど。サムライミ版とアメスパはそれなりに観てたんですけどね。
ドルビーに関しても上映している劇場はかなり少ない。
- T・ジョイ横浜(Dolby-Cinema)
- 梅田ブルク7(Dolby-Cinema)
- T・ジョイ博多(Dolby-Cinema)
- グランドシネマサンシャイン池袋(Atmos)
- 福井シネマコロナワールド(Atmos)
ドルビー関係はIMAXのように特に世界的に上映を取りやめているわけではなさそうですが、こちらは国内の関係もあって上映劇場はかなり少ない。
シネマの環境がある劇場は日本国内に7館のみですがうち3館のみ上映。じゃあ残りの4館(SMT/ミッドランドスクエアシネマ)は何をやっているのかというと、『嵐』に力を入れたいというのが実情でしょう。
ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”とは?
引用:ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories” : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
昨年をもって一時活動休止中の「嵐」の初となるライブドキュメンタリー作品です。
先週末時点で興行収入35億円を記録しており、21年度の邦画実写作品としては1位も見えてきています(現在の1位は東京リベンジャーズの約45億円)
【国内映画ランキング】「マトリックス レザレクションズ」が初登場1位!「ボス・ベイビー」3位、「仮面ライダー」が4位 : 映画ニュース - 映画.com (eiga.com)
この作品、大人1人の単価が3,300円と上映劇場にとってはかなり単価が高いんですよ。ましてや松竹が配給ということもあり、特殊上映は松竹系列のSMTには設備がないIMAXでの上映はなく、SMTで3館導入している「ドルビーシネマ」のみで上映されています。
そんなこともあってドルビーシネマ採用劇場の単価も良ければ客入りも良い。新作が来ても中々回数を削りにくいという実情もあるでしょう。そこに特殊上映に現在消極的なディズニーのこともあったのでキングスマンのSMT系での上映は見送られ、嵐に全集中って感じかなと思います。(ちなみにSMT系では先月のエターナルズ(WDJ配給)もドルビーシネマでの上映をスルーしています。)
一方のティ・ジョイ系は東映系のシネコンなので遅れてのエターナルズのドルビーシネマ上映、キングスマンもしっかり上映しており、満遍なく親切に上映している感じですね。
Atmos版は単純にキャパの大きいスクリーンに採用されている関係で上映スルーされている可能性大
引用:劇場版 呪術廻戦 0 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)
ドルビーアトモスを採用しているスクリーンはその映画館にとって一番キャパの大きい箱だったりすることが多いです。少なくともTOHOシネマズやイオンシネマはそういう傾向がありますね。IMAXやドルビーシネマのように単価が一定数高いわけでもなければ専用箱として使われているわけではないのでAtmos対応作品があるからといって必ずしも上映するかと言われるとまた少々異なってきます。
そしてこれまた運が悪いというか、キングスマンの公開日には『呪術廻戦』というこの冬大本命といっても過言ではない大作と被ってしまったのも運の尽きです。当然ながら呪術の方が観客動員を見込めますからよっぽど余裕のある映画館でないとキングスマンをわざわざキャパの大きいアトモスで上映してくれるところはないんです。
総括
一言で言えばこれに尽きます。
- IMAX⇒WDが世界的に取りやめにしているので日本国内の問題だけでない
- ドルビーシネマ⇒嵐が好調かつ、ディズニーが本気で特殊上映を押さえる気がない
- Dolby-Atmos⇒「呪術廻戦」と公開日が被ってしまったのが運の尽き
私も近いうちにキングスマンは観ようかなとは思っていますが、早く行っとかないと小さいスクリーンで見ることになりそうなので大変です...。