突然ですが日本で最も多くのスクリーンを抱えるシネコンチェーンは何処だと思いますか?
まぁタイトルからして察した方も多いかとは思いますが、答えは「イオンシネマ」擁する『イオンエンターテイメント』という会社になります。その名の通りイオングループが手掛ける商業施設に入居する事例が多いです。
ただ中にはイオンモールの中にライバルチェーンのTOHOシネマズが入居しているという、一瞬あれ?となる事例なども結構多くあります。
今回はそんなイオンシネマの沿革と国内最多のスクリーンを抱えるチェーンとなった経緯を辿ってみましょう。
- 現・イオンシネマは大きく3つに分類される
- 1)旧ワーナー・マイカル・シネマズ系
- 2)旧イオンシネマズ系
- 3)WMC&旧AC統合後のイオンシネマ
- なぜイオンモールなのに他社のシネコンが出店する事例がある?
- まとめ
現・イオンシネマは大きく3つに分類される
2024年8月現在、全国96劇場を擁するイオンシネマですが何故ここまで展開出来ているのかということですが、そもそも2つのシネコンチェーンが合併して新たなブランドとして展開していることが大きな要因となっています。そして現在のイオンシネマを大きく3つに分類すると以下に分類されます。
- ワーナー・マイカル・シネマズ系
- イオンシネマズ系
- 上記2つの統合後
1)旧ワーナー・マイカル・シネマズ系
20代以上であれば覚えている人もいるかもしれませんが、ずいぶん昔からあり現在はイオンシネマ系の映画館で昔はこんなロゴだったなーと記憶している人も中に入るかもしれません。
「ワーナー・マイカル・シネマズ(以下、WMC)」はその名の通り「ワーナー(タイム・ワーナー)」と「マイカル」という会社によって展開されたシネコンチェーンです。
ワーナー・ブラザースはともかくマイカル?って思った方も多いでしょうが、分かりやすく言うと「サティ(SATY)」や「ビブレ(VIVRE)」などと言った商業施設を展開していた会社です。このため昔はサティやビブレと呼ばれ、現在はイオンとして営業している店舗に多く入居している事例が多いです。
第一号店として1993年に開業したWMC海老名(現・イオンシネマ海老名)は日本国内初のシネマコンプレックスとも言われております。
親会社のマイカル破綻によりイオングループが大きく関係
2001年にWMCの親会社の1つともいえるマイカルが経営破綻となり、経営再建のスポンサーとしてイオングループが手を挙げました。昔はサティやビブレだった店舗が後々順次イオンに名前が変わっているのはこれが関係しています。
そしてWMCに関しても親会社のイオン化に伴い、資本がマイカル→イオングループとなっているため後々イオンシネマとして改称し展開している構図となります。一例としてWMC海老名は旧・サティ海老名店に出店していましたがイオン化に伴いイオンシネマとなっています。
(余談ですが、マイカルが経営破綻に至った原因は以下の動画で分かりやすく記されているため興味ある方は是非)
マイカル破綻後からイオンシネマ統合へ
マイカル破綻後はイオングループ(正式にイオングループとしてWMCの資本が入ったのは2011年)と引き続き米・ワーナーとして運営され、全てではないもののイオンモールを中心に新規劇場もWMCとして出店していきました。
そして2013年にイオングループがワーナーが持っていた株を全て取得することでWMCを完全子会社化し、イオンシネマズ(後述)と統合しイオンシネマとなりました。
ちなみに2013年の統合時にWMCとして営業していた劇場は61サイトであり、旧AC(末期は13劇場展開していた)と統合しなくとも現在のTOHOシネマズ(約70劇場)に次ぐ規模でした。親会社のマイカルは店舗を増やしすぎて経営破綻に至ったと言われていますが、今思うと子会社のWMCも大分急ピッチで増やしたなぁとは感じますね。
2)旧イオンシネマズ系
旧WMCは少し複雑で説明も長くなりましたが、イオンシネマズ(以下、旧AC)は割と構造は単純です。
旧ACはイオングループの源流ともいえる旧・ジャスコの店舗を中心に出店していたシネコンチェーンです。現在のイオンシネマのロゴに関しては旧AC系のものがほぼそのまま採用されている感じになりますかね。
ちなみにイオンシネマズは「イオン」という名前を冠してはいますがWMCと比較すると規模が小さいこともあってか、WMCに吸収された形で後にイオンシネマ(イオンエンターテイメント)へ改称したという感じのようですね。
3)WMC&旧AC統合後のイオンシネマ
2013年のACへの統合後にイオンモール等に出店した場合は一部例外(いわき小名浜、沖縄ライカム)を除き、基本的にイオンシネマが出店しています。
なぜイオンモールなのに他社のシネコンが出店する事例がある?
盛大な前振りでしたが、ここからが本題。
今でこそイオンモールに入るシネコンはほぼイオンシネマですが、少し前とかだとTOHOシネマズやMOVIX、109シネマズなどライバルの大手シネコンチェーンが出店する事例も結構ありました。何故かというとイオンモールに関しても様々な経緯で出店したことが挙げられます。
- ACへの統合後に開業したイオンモール(一部除きイオンシネマ)
- 旧・サティ&ビブレをリブランド化したイオンモール(WMC→イオンシネマ)
- 旧・ジャスコをリブランド化したイオンモール(旧AC→イオンシネマ)
- それ以外のイオンモール
実は4のそれ以外のイオンモールってのが結構多く、今でこそイオンモールですがそれ以前は別の名義で営業していたという店舗もあります。
例としてはイオンモールと三菱商事との共同出資で展開された「ダイヤモンドシティ」などがあり、完全なイオンモールではないことやACへの統合前に計画されたショッピングモールということもあってか、後に自社系となるWMCが出店する事例もありますがライバルともいえるTOHOシネマズ、ティ・ジョイが出店したり多種多様です。
また旧・ジャスコを中心にイオンシネマズが出店していると前述していますが全てではなく、他社チェーンが入っている事例もあります。(一例として109シネマズ明和など)
まとめ
イオンシネマという自社ブランドが出来た今でこそ、イオンモールが新たに開業するとほぼ100%と言っても良いほど同グループのイオンシネマが出店しますが、それ以前からあるイオンモールに関してはイオングループ自体としてそこまでシネコンの展開が積極的には行われてはいなかったため、餅は餅屋という感じでライバル他社が出店する事例も結構あったようですね。